PMやPMOとして経験を積んだ人が、フリーランスや業務委託という選択肢を考えるとき、知りたいことははっきりしています。仕事はあるのか。いくらもらえるのか。
この記事では、公的な調査データとダイブが実際に扱っている案件の水準から、①企業が何に困っているのか ②月額単価はどのくらいか ③何が単価を分けるのか ④案件で見られる経験 ⑤常駐という働き方を整理します。
1. PMとPMO——役割の違いを先に整理する
求人票では並べて書かれることが多い2つですが、責任の持ち方が違います。
| PM(プロジェクトマネージャー) | PMO(プロジェクトマネジメントオフィス) | |
|---|---|---|
| 立場 | プロジェクトの責任者 | PMとプロジェクトを支える機能・組織 |
| 責任範囲 | 品質・コスト・納期の達成そのもの | 進行の可視化、課題の整理、標準の整備 |
| 主な仕事 | 計画立案、体制構築、ステークホルダー折衝、リスク判断 | 進捗・課題・リスクの管理、会議体運営、資料整備、複数PJの横串 |
ただしPMOは一枚岩ではありません。一般に支援型・統制型・指揮型の3つに分けられ、支援型は情報提供や資料整備が中心、統制型はルールや基準の遵守を求める立場、指揮型はPMを配置してプロジェクトそのものを統制します。指揮型に近いほど意思決定の側に立ち、後述するとおり単価にも効きます。
「PMOはPMの補佐」という説明をよく見かけますが、実務ではこの幅を前提に案件を見たほうが正確です。フリーランスとして参画する場合、PMOから入ってPMへ広げていくというルートも珍しくありません。まず進行管理と可視化で信頼を得て、次のフェーズで意思決定の側に回る、という順序です。
2. 2026年の需要——足りないのは頭数ではなく「任せられる人」
IPA(情報処理推進機構)が2026年4月中旬から6月中旬にかけて実施した調査「DX動向2026」に、DXを推進する人材の過不足が出ています。
はじめにお断りしておくと、この調査はPM/PMOという職種を切り出したものではありません。対象は「DXを推進する人材」全体です。ただ、その中身を見ると、PM/PMOという役割が置かれている状況がよく分かります。
「量」の不足感は和らいでいる
人材の量について「やや不足している」「大幅に不足している」と答えた企業は、2025年度で合計85.5%。依然として高い水準ですが、内訳を経年で見ると変化があります。
- 「大幅に不足している」= 2023年度 62.1% → 2024年度 58.5% → 2025年度 50.1%
IPAはこれを「やや解消傾向」と表現しています。頭数の確保は、少しずつ進んできました。
「質」は「大幅に不足」が減り、合計はやや増えている
一方、人材の質についての回答は、量とは少し違う動き方をしています。
- 「やや不足」+「大幅に不足」= 2024年度 86.1% → 2025年度 88.8%(増加)
- 「大幅に不足している」= 2024年度 58.9% → 2025年度 52.9%(減少)
「大幅に不足」が減る一方で、「やや不足」を含めた合計はやや増えています。IPAはこの動きを、量・質ともに不足感は「やや解消傾向」にあり、質についても「一服感がみられる」と評価しています。合計では9割近くが不足を感じたままで、企業が困っているのは人数そのものより、任せられるかどうかのほうへ移りつつあります。
PM/PMOは、まさにその「任せられる人」に当たる役割です。この調査に職種別の内訳はありませんが、質の不足感が量より高い水準にとどまるという構図は、代わりの立てにくい役割ほど強く効きます。
企業規模が大きいほど不足感が強い
量の確保状況を、回答した企業の従業員規模別に見ると差がはっきり出ます。
- 従業員301人以上の企業:「やや不足」+「大幅に不足」が9割超
- 従業員100人以下の企業:それでも6割超
ここで分けられているのは回答企業の従業員規模であって、案件の規模ではありません。ただ、体制の大きい組織ほど推進役が足りていないという結果は、大きな体制で経験を積んだ人にとって追い風です。
※出典:IPA「DX動向2026」(調査期間 2026年4月中旬〜6月中旬)。数値はいずれも同報告書の記載年度によります。
3. 月額単価の実態
ダイブが扱うNTTドコモグループの案件では、職種に応じて次の月額単価が見込めます。
| 職種 | 月額単価(税別) | 年間換算 |
|---|---|---|
| PM/PMO | 80万〜120万円 | 960万〜1,440万円 |
| マーケティング | 70万〜100万円 | 840万〜1,200万円 |
| エンジニア | 70万〜100万円 | 840万〜1,200万円 |
| オペレーション | 50万〜70万円 | 600万〜840万円 |
| 営業 | 45万〜60万円 | 540万〜720万円 |
※ 大手通信グループ関連の案件では、上限180万円規模のものもあります。
PM/PMOは、扱う職種のなかで最も高い水準にあります。
なぜPM/PMOの単価が高いのか
理由は3つに整理できます。
- 代わりが立てにくい——プロジェクトの前提や経緯を理解している人を途中で入れ替えるコストが大きく、継続前提の契約になりやすい
- 成果が金額で見えやすい——遅延の回避や手戻りの削減は、そのまま費用に跳ね返ります。単価の根拠を説明しやすい役割です
- 業務の範囲が広い——折衝・調整・資料化・意思決定支援がひとつの人格に集まるため、単価が積み上がりやすい
単価を分けるのは「規模」と「立ち位置」
表のとおり、PM/PMOのなかでも幅があります。この差を作るのは、経験年数よりも次の2つです。
- プロジェクトの規模と予算:関わる部門数、体制の人数、予算規模。大きいほど求められる調整の難度が上がります
- どこまで踏み込むか:管理資料を整えるところまでか、方針の決定に関与するところまでか。§1で触れた支援型・統制型・指揮型の違いが、そのまま単価に効きます
「PMの経験は長いが単価が上がらない」という場合、経験年数ではなく入る位置が固定されていることが多くあります。案件を選ぶときは、報酬額だけでなく任される範囲を確認しておくと、次の単価交渉の材料になります。
4. 案件で求められる経験——見られるのは年数ではありません
「何年やっていれば通用するのか」という質問をよくいただきますが、実際に見られているのは年数そのものではありません。
書面で示せる4つの材料
- 体制の規模:何人のチームを、何部門にまたがって動かしたか
- 予算の規模:いくらの予算に責任を持ったか。金額は最も伝わりやすい指標です
- ステークホルダーの数と種類:社内だけか、ベンダーや業務部門を巻き込んだか
- 立て直した経験:順調に終わったプロジェクトより、遅れていたものを戻した経験のほうが説明の材料になります。前提が崩れた場面での判断は、順調な進行では示せないためです
職務経歴書がフェーズや工程の羅列になっている場合、この4つが読み取れる形に書き直すだけで、通る案件が変わることがあります。
資格は必須ではないが、材料にはなる
PMPや情報処理技術者試験のプロジェクトマネージャ試験は、参画の必須条件になることは多くありません。ただし、経験の言語化ができていることの裏付けにはなります。実績で示せる人には不要ですが、業界を移るときや、経験が社内評価に閉じている場合には効きます。
業界が変わっても、進め方は持ち運べる
「通信業界の経験がないから」と敬遠される方がいますが、プロジェクトの進め方そのものは業界を越えて移植できます。ドメイン知識は参画後に埋められる一方、体制を設計して動かす力は短期間では身につきません。金融・製造・流通からの参画も珍しくありません。
確認しておきたいのは、その案件で求められているのが「業界の知識」なのか「進め方の力」なのかです。募集の背景を聞けば、たいてい判別できます。
5. 常駐という選択肢
フリーランスのPM/PMOには、リモート中心の受託と、クライアント先に常駐する形の両方があります。大規模案件のPM/PMOは、常駐またはハイブリッドが中心です。関係者が多く、その場で決めることが多い役割だからです。
常駐型を選ぶと、働き方の面ではこうなります。
- 案件が長い——月単位の更新でも、実際には年単位で続くことが多い
- 営業活動が要らない——次の案件を探す時間を、仕事そのものに使える
- 経験が積み上がる——大手のプロジェクト運営を内側から見た経験は、次の単価交渉でそのまま材料になる
月額単価は、そのまま手取りにはなりません
ここは正社員から移る方が最も誤算しやすい点です。業務委託の月額単価は、社会保険料も税金も差し引く前の金額です。しかも制度ごとに変わり方が違います。
- 健康保険:会社と折半していた健康保険から、国民健康保険・任意継続・家族の被扶養者のいずれかを自分で選びます
- 年金:厚生年金(会社と折半)から、定額の国民年金へ制度ごと切り替わります。上乗せは自分で設計することになります
- 労災保険:正社員のときの保険料は事業主が全額負担していました。業務委託では自動的には適用されず、特別加入を自分で申し込みます
- 雇用保険:加入できません
「月100万円」と「年収1,200万円の正社員」は、同じ手取りにはなりません。この差し引きの部分は、実額で比較した記事にまとめています。単価の交渉に入る前に、手元にいくら残るのかを先に把握しておくと、判断の基準が変わります。
- 業務委託の健康保険はどうする?任意継続・国民健康保険・被扶養者を2026年度の料率で比較
- 業務委託の年金はどうなる?厚生年金との差と、付加年金・国民年金基金・iDeCoで埋める方法
- 業務委託の労災保険は特別加入で入れる——雇用保険との違いと、給付基礎日額16段階で見る年間保険料
6. ダイブの場合
ダイブは、NTTドコモグループの業務を支える人材サービス企業です。約60名のプロフェッショナル人材がNTTドコモに常駐し、業務委託と正社員の両方のかたちで参画しています。
現在公開している募集は、常駐で関わるソリューション・営業系のポジションです(ページ下部のとおり)。PM/PMOでの参画をお考えの方は、公開中の求人に該当がない場合でも一度ご相談ください。案件の状況は随時変わります。
ダイブが扱う案件には、次のような性質があります。
- 大手通信グループの案件——関係部門が多く、体制も大きいものが中心です
- 長期の継続案件——単発の切り出しではなく、フェーズをまたいで関わる形が中心です
- 業務委託と正社員の両方——どちらが向いているかは、いま何を優先したいかによって変わります
迷われている段階でも構いませんので、一度ご相談ください。
まとめ
- IPA「DX動向2026」によると、DX推進人材の量の不足感は和らいでいます(「大幅に不足」62.1%→58.5%→50.1%)。質も「大幅に不足」は58.9%→52.9%と減り、「やや不足」を含めた合計は86.1%→88.8%とやや増えています。IPAは量・質ともに「やや解消傾向」と評価しています。合計では9割近くが不足を感じたままで、企業が困っているのは頭数より「任せられるかどうか」に移りつつあります
- 同調査に職種別の内訳はありません。回答企業の従業員規模で見ると、301人以上では9割超、100人以下でも6割超が不足を感じています
- ダイブが扱う案件では、PM/PMOの月額単価は80万〜120万円(年間960万〜1,440万円)。扱う職種のなかで最も高い水準です
- 同じPM/PMOでも幅があります。差を作るのは経験年数よりも、プロジェクトの規模とどこまで意思決定に踏み込むか(支援型・統制型・指揮型の違い)です
- 案件で見られるのは経験年数ではなく、体制の規模・予算の規模・巻き込んだ相手・立て直した経験の4つです。業界が変わっても、プロジェクトの進め方そのものは持ち運べます
- 大規模案件のPM/PMOは常駐またはハイブリッドが中心。月額単価はそのまま手取りにはなりません。健康保険・年金・労災は制度ごとに変わり方が違うので、それぞれ確認しておいてください
※本記事の需要に関する数値はIPA「DX動向2026」(調査期間2026年4月中旬〜6月中旬)にもとづきます。月額単価はダイブが扱う案件の水準であり、案件・時期・ご経験により変動します。
出典・参考資料
- IPA(情報処理推進機構)「DX動向2026」
- IPA(情報処理推進機構)「DX動向2026」本文(PDF)
- 厚生労働省「労働保険とは」
- 厚生労働省「令和6年11月1日から『フリーランス』が労災保険の『特別加入』の対象となりました」
- ハローワークインターネットサービス「雇用保険制度の概要」
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「任意継続」
- 日本年金機構「国民年金保険料」
ダイブの募集ポジション(NTTドコモグループ駐在)
プロ人材として業務委託/正社員、2つの働き方で参画いただけます。現在の募集は次のとおりです。









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